封筒印刷には、既製封筒に社名を入れるタイプと全面オリジナルデザインで作製するタイプがあります。それぞれの特徴を紹介します。
封筒印刷をデザインする場合、既製封筒にロゴや社名を入れるほか、全面オリジナルの印刷をすることも可能です。
短い納期で作成したいという場合や、パソコンやデザインが苦手という場合には、既製封筒にロゴや社名を入れる方法がおすすめです。
既製封筒にロゴや社名を入れる場合、多くの印刷会社において、ネット上で必要項目を入力するだけでデザインすることができます。画面の指示に従っていくだけなので、パソコンがあまり得意ではないという人でも簡単に操作できます。
また、いくつかのデザインテンプレートの中から好みのものを選ぶだけなので、デザインの知識なども必要ありません。用紙の種類も選べますし、デザインテンプレートの種類も豊富に揃っているので、オリジナルデザインに近い封筒をつくることも可能です。
料金も、オリジナルデザインの物と比べてリーズナブルな場合が多いようです。
他者との差別化を図るのであれば、オリジナルデザインの封筒を作ってみましょう。ベロ(頭、フラップ)の部分や全面をベタ印刷にすると、かなり目を引きます。
紙に蝋をしみこませた「ロウ引き加工」も、紙の透け感やシワなど、独特の風合いがあり、個性を出すことができます。
高級感を出したいのであれば、高級感のある紙を使用するほか、黒や紺、こげ茶などの濃い色の用紙に金、銀、白などのインクで印刷をしたり、箔押しの加工をするのがおすすめです。
内容物によっては、中身が透けて見えるのは困るということもあるかもしれません。その場合には、厚い用紙を使うほか、透けにくい紙を使ったり、封筒の内側に地紋を印刷することで中身を見えにくくすることも可能です。
宛名部分に窓をつくることももちろんできます。1カ所だけでなく、2カ所、3か所と窓を入れたり、窓の形も四角だけでなく、丸や三角、その他の形にも応じてくれるところもあります。
個性的なデザインの封筒をつくりたいけれど、自分でデザインをするのが苦手という場合には、デザインおまかせで作成してくれる印刷会社もあるので、ぜひ相談してみてくださいね。
封筒印刷でデザインを入稿するとき、指定されている保存形式はそれぞれの会社によって異なります。推奨されていることが多いPDFやPSD、TIFFなどの代表的な保存形式で入稿するにはどのソフトで作成すればいいのか、また入稿に向かない保存形式などを紹介します。
スキャナーで取り込んだ際にも、最もよく使用されるのがPDF形式です。再編集がしづらいので予期せぬ改変を防ぐことができることもあり、見栄えもいいというメリットがあります。文字と画像の混ざったファイルに向きで、拡張子は「.pdf」の形式で入稿することができます。
封筒印刷会社ではこの形式での入稿を指定している場合があります。その他の形式で作成したファイルはPDFに変換して入稿しておきましょう。
PDFでの入稿を推奨されているファイルの作成に便利なソフトは、WordやExcelがあります。パソコンにMicrosoft Officeシリーズのソフトウェアをインストールすれば、カンタンに入稿が可能なファイルが作成できるというわけです。WordやExcelのソフトを使用したテンプレートが無料でダウンロードできるサイトもあるので、それをベースにイラストや文字を加えるなどしてアレンジしたファイルの作成が可能です。
PSD形式はAdobe Systems社の画像編集ソフトであるAdobe Photoshopの標準保存形式です。Adobe Photoshopはイラストのプロフェッショナルにも基本ソフトとして広く利用されていることもあり、イラストや写真画像を組み合わせたファイルをパーツごとに保存することができる柔軟で高機能なソフトです。
しかし、Adobe Photoshopで作成したファイルは、主にPSD形式での入稿よりもPhotoshop EPS形式での入稿を推奨されています。Photoshop EPSの拡張子は「.eps」になり、「.psd」とは異なります。EPS形式で保存する場合には各パーツに分かれたレイヤーデータを画面上でひとつになるよう結合する必要があります。保存する前に必ず「レイヤーを結合する」作業を行ってください。
イラストを作成するためのペイントソフトでは、PSD形式で保存をして入稿することができます。CLIP STUDIO PAINTやSAI、Fire AlpacaにOpen Canvas、GIMPという無料のイラスト作成ソフトでもPSD形式でファイルの保存ができます。ただし、推奨データ形式での保存ができれば必ず忠実に印刷で再現ができるというわけでもありません。細かい設定など、わからないことは事前に印刷会社に確認しておくことで入稿のやり直しなど二度手間も省けるでしょう。
TIFF形式も入稿データとして推奨されている画像データのファイル形式です。この形式は画像を圧縮しないために、絵や写真などのデータを高解像度の品質のまま保存できるという最大のメリットがあります。拡張子は「.tif」です。しかし、無圧縮なのでファイルのサイズが大きくなってしまうというデメリットもあります。
ペイントソフトで作成したファイルをTIFF形式で保存できることを紹介しましたが、Adobe Photoshop やAdobe Illustratorの両ソフトを使用してこの形式で保存することもできます。同じTIFFでも複合機で作成された複数画像入りのTIFFは別の形式であるマルチTIFFと呼ばれ、Adobe Photoshopで開くことができません。通常、マルチTIFF形式のファイルは印刷会社の入稿形式に対応していないので注意してください。
Adobe Systems社の代表的なグラフィックス作成ソフトであるAdobe Illustratorの標準ファイル保存形式、それがaiです。拡張子は「.ai」で描画情報を保存することができます。
ai形式のファイルはAdobe Illustratorで作成したファイルであることが基本とされていますが、なかにはjpg形式のファイルをai形式に変換して入稿しようとする人もいます。このように変換をすることは可能ですが、それによってイラストの配置が変わってしまう場合があります。いずれにおいても各ソフトウェアの基本の保存形式を変化させて入稿したい場合には、印刷会社に確認を行ってから入稿した方がいいでしょう。うまく変換できたように見えても、印刷物として再現したときにデザインが元データと異なってしまう場合があります。
入稿に向かないとされている形式は、主に圧縮データであるGIFやPNG、BMPなどの形式です。反対に、圧縮形式でも比較的推奨されているデータには、ZIP、LZH、SIT などがあります。画像データの保存形式として使用されることの多いJPEGのデータに関しても、印刷会社によって推奨されている場合とそうでない場合があるので、いずれの場合においても入稿前に問い合わせるなど、よく確認する必要があります。